No.3 災害救助法について

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【報告】災害救助法についての勉強会を開催しました

責:桒原大輝



平成24年4月16日、兵庫県弁護士会より津久井進弁護士をお招きし、災害救助法の仕組みや実際の運用状況等について講義をしていただきました。

津久井弁護士は、東日本大震災の当初から、原発問題だけでなく住宅支援にも力を入れて活動され、災害救助法について研究された著書(『「災害救助法」徹底活用 (震災復興・原発震災提言シリーズ)』)も出版されています。

条文だけでなく、通達等の資料も有効に使用し、とてもわかりやすい講義でした。

 

 それでは、講義の中で災害救助法に関する部分をご説明いたします。

 

1.災害救助法の目的

災害救助法は、災害に際して、国が、地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、被災者の保護社会秩序の保全を図ることを目的としています。

2.実施体制

  災害救助法による救助は、都道府県知事が行い、市町村長がこれを補助するというかたちを取っており、必要な場合は、事務の一部を市町村長が行うとすることができます。

  そして、救助に要する費用は、都道府県知事が支出し、財政状況に応じて国が負担することになります。

  したがって、災害救助法は、国が都道府県に対して交付する補助金の根拠法としての性格を持っており、救助行為自体は地方自治体の自由に行うことができるということになります。

3.救助の種類

①収容施設(避難所・応急仮設住宅)の供与

②食品、飲料水の給与

③被服、寝具その他生活必需品の給与・貸与

④医療、助産

⑤被災者の救出

⑥被災住宅の応急修理

⑦生業に必要な資金・器具又は資料の給与・貸与

⑧学用品の給与

⑨埋葬

なお、①収容施設について、避難所は原則7日、応急仮設住宅は建築基準法との関係で原則2年とする一般基準があります。

この2年という期間は、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の7条により、必要がある場合で、安全上・防火上・衛生上支障がない場合には、更に1年を超えない範囲で期間を延長することができますので、1年ごとに更新することが可能です。

また、一般基準によっては救助が適切にできない場合には、都道府県知事は、厚生労働大臣と協議し同意の上、救助の程度・方法・期間を定めることができることになっています(特別基準)。

 

 このように、救助の費用は国が負担するとなってはいるのですが、求償の仕組みによって、各都道府県が福島県の方針に合わせがちになってしまっているのが現状です。

 現状を打開し、各都道府県が災害救助法の目的である被災者保護を第一に見据えた対応をする方向に持って行くためにも、被災者の方々の声を拡げ、様々な団体との連携を深めていくことが非常に重要です。

 

 津久井先生もおっしゃっていたことなのですが,災害救助法の運用指針は,①人名最優先の原則,②柔軟性の原則,③生活債権継承の原則,④救助費国庫負担の原則,⑤自治体基本責務の原則,⑥被災者中心の原則とされるべきであると痛感しました。私たちもこの6原則が徹底されるよう声をあげて行きたいと思います。

 私たち弁護団も、今回の勉強会で学んだことを生かし、被災者の方々の生活支援にも一層力を入れていきたいと思っていますので、何か困ったこと、不安に思われていることがあれば、気軽に私たちに相談してください。

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このページは、弁護団が2012年9月17日 10:46に書いたブログ記事です。

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