ADR申立て報告(平成24年7月2日) 文責:中村映利子
本日,第1次集団ADR申立てを行いましたので,ご報告いたします。
1 申立件数及び申立総額
本日,申立てを行ったのは,人数にして6世帯21人,金額にして総額1億6172万7977円です。
2 記者会見について
(1) 記者会見の概要
本日の集団申立てを受け,本日午後3時より,京都弁護士会館において,記者会見を実施いたしました。ADRの申立てを行った被災者の方2名,弁護団員10名が出席,報道機関4社が取材に駆けつけてくれました。
記者会見は,川中弁護団長による挨拶,出席した被災者の方1名による意見陳述,当該意見陳述に対する質疑応答,田辺弁護団事務局長による意見陳述,弁護団に対する質疑応答という流れで進められました。
(2) 被災者意見陳述の概要
簡単に,被災者の方による意見陳述の内容を記しておきます。以下,意見陳述をしてくださった被災者の方を「Aさん」とお呼びするようにします。
まず,Aさんは,避難を決意した経緯について話してくださいました。Aさんは,原子力発電所が爆発したことを無線アナウンスで知ったそうです。無線アナウンスでは,「窓を閉めてください」と放送されていたそうです。こうしたアナウンスを聞いたAさんは,ただただ子どもたちの健康のことを考え,子ども達の健康以上に優先するものなんかない,と避難することを決意されたそうです。
次に,Aさんは,今思っていること,望んでいることを話してくださいました。Aさんの発言されたことについて,いくつかご紹介します。
「いつか福島に帰ることができるのだろうか。」
「子どもたちに,再び,福島の自然を見せてあげることができるのだろうか。」
「普通の毎日を返してほしい。」
「今望んでいるのは,ただただ子どもたちの健やかな成長のこと。」
Aさんが今思っていること,望んでいることは普通の生活をしたい,原発事故以前の幸せに暮らしていた毎日を返してほしい,そうしたごく当たり前のことなのです。
最後に,AさんはADR申立てを決意した理由について話してくださいました。
「国は,本当に被災者のことをわかっているのだろうか」,「私たちの苦しみを忘れてほしくない」,そう考えて,AさんはADR申立てを決意されたそうです。
また,Aさんは,次のようにも話してくださいました。
「私がADRを申し立てることで,迷われている被災者の方々の背中を押すことができれば。」
ADR申立てを決意してくださったAさん,意見陳述を決意してくださったAさん,私たちは,そのようなAさんの勇気に心を熱くされました。Aさんの気持ちに応えるべく,「今後とも被災者の方々への支援に邁進していきたい」,そのような思いを新たにしました。
3 お知らせ
7月22日,京都弁護士会館にて,無料相談会を実施します(時間は,午前10時から午後3時までです)。ご予約も受け付けておりますので,075-211-2270,京都被災者支援弁護団事務局までお問い合わせください。
本日の第1次集団申立てにより,京都に避難されておられる被災者の方々,そして我々弁護団の戦いは緒に就いたばかりです。そうした戦いの火を落とさないためにも,22日の相談会においては,数多くの方々のご来場をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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