現在,弁護団で提訴している訴訟について,ご説明します。
なお,以下は平成25年9月18時点における訴訟内容です。
1 どういう訴訟をいるのですか。
(原告の範囲)
3 どういう人が原告になれますか。
(請求の範囲)
8 いくら請求しますか。
(ご負担頂く費用)
16 費用はどれだけかかりますか。
(集団訴訟の見通し)
19 何年かかりますか。
2 弁護団の考えている訴訟の目的は何ですか国と東電を相手にして,慰謝料(精神的な苦痛に対する損害賠償)の支払を求めて,平成25年9月17日,京都地裁に提訴をしました。
国の施策転換,被害回復,真相究明の3つがあります。(国の施策の転換)国の避難者に対する施策は基本的に放置だと考えています。特に自主避難者に対して必要な支援は殆どなされていない状態です。こうした国の施策を変えるためには,原発事故について国に責任があったことを明らかにする必要があります。また,自主避難者は「自主的」と言われて勝手に逃げたかのように位置づけられているのですが,こうした姿勢を改めさせるためにも裁判所による判断が必要だと考えています。(被害回復)中間指針追補で認められた水準の賠償は極めて不当と考えています。正当な被害回復もまたこの訴訟の目的です。また,このまま放置すると消滅時効ですべての請求権が消滅する可能性があります。(真相究明)現在,4つの事故調による報告書が公刊され,また原子力規制委員会による検証もなされる予定となっています。しかし,情報量において豊富な政府事故調,国会事故調,東電事故調はいずれも国の法的責任を認めていません。真の意味での責任を明らかにするのは,司法以外にないと考えます。
3 どういう人が原告になれますか。
4 夫が福島県内に残っていますが,京都地裁で一緒に提訴できますか。福島県内から避難してこられた方。福島県外でも生活圏内に年間1ミリシーベルト以上の空間線量があり,避難をしてこられた方。
5 今は,1ミリシーベルト以下なのですが,提訴は無理ですか。できます。
6 私は,ADRを申し立てているのですが,訴訟に参加できますか。避難時に1ミリシーベルト以上の空間線量があれば,それが原因で避難している以上,提訴をすることは可能です。
7 私は,直接請求をしているのですが,訴訟に参加できますか。まだ手続の途中であれば,参加可能です。仮に和解が成立している場合は,清算条項をご確認下さい。
請求の際に提出した書面の記載を確認して下さい。基本的には,訴訟に参加することは可能だと考えられます。
8 いくら請求しますか。
9 慰謝料請求というのは,どういう請求のことですか。請求は,一人当たり,一律慰謝料及び客観的な損害のうち,500万円とします。内金請求とする理由ですが,そのまま請求すると印紙代が高額になるので,当面,訴状で請求するのは,その慰謝料の内金500万円と弁護士費用50万円としています。一部請求であることを明示して提訴しますので,慰謝料については時効消滅する恐れはありません。財物損害は,個々の原告さんの事情,意向を検討し,追加で請求する予定です。
10 なぜ慰謝料・客観的損害と弁護士費用だけなのですか。慰謝料とは,精神的な苦痛に対する損害賠償です。生活費増加分や休業損害,財物の損害などは含まれません。
11 私は,避難指示区域内に不動産を持っていますが,どうすれば良いですか。財物の損害は,個別性があります。原告さんの個別事情に応じて主張を用意していきます。
12 なぜ内金請求にするのですか。残りは時効にかかりませんか。慰謝料と別にADRを申し立てる方法がとれます。
13 客観的な損害には何が含まれますか。印紙代の負担が大きいことが一つの要因です。内金請求ですが,請求の趣旨を途中で拡張することは出来ますし,判決が出た後で再訴することも可能です。財物損害は,訴訟手続をとらないと時効にかかる恐れがあります。時効延長の立法がなされましたが,要件が厳格ですので,何もしなければ確実に時効が成立することになります。
移動費用,生活費増加分,休業損害が含まれます。14 客観的な損害をどのように立証するのですか。
可能な限り,定型的な立証を行う方針です。15 将来,子どもが発病したときにあらためて賠償請求できますか。
それは法的には可能だと思います。時効は,病気の発症が分かったときから進行します。
16 費用はどれだけかかりますか。
17 訴訟救助を使いたい1世帯辺り1万円。紙代3万2000円予納金(裁判所から書類を発送する際の郵券代)数千円(勝訴した場合)弁護士報酬として認容額の10%+消費税また,訴訟遂行に必要な諸経費は,勝訴の際に賠償金から先立って控除されます。
18 法テラスは利用できないのですか訴訟救助とは,「訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。」という民事訴訟法82条に基づいて印紙代の支払い猶予を受けるものです。ただし,支払い猶予ですから,訴訟が終了した段階で印紙代等を納付しなければなりません。
利用は可能ですが,印紙代については訴訟救助を申し立てて却下された場合に限り援助されます。
19 何年かかりますか。
20 勝てますか。少なくとも2年はかかると考えています。
21 どのように訴訟を終わらせるのですか。裁判の結果をお約束することはできません。しかし,私たちは負けては行けない訴訟だという意気込みでこの訴訟に取り組みたいと考えています。
22 原告になったら,どういうことをすれば良いですか。全国の弁護団と協力し合って訴訟遂行していきます。最終的には政治的な解決を求めることも念頭に置いています。(皆さんにして頂きたいこと)
23 勝っても赤字になりませんか。すでに賠償をもらっている分は差し引かれるのですか。訴訟に参加したからといって,日常の生活に負担がかかることは殆どありません。ただ,1ヶ月から2ヶ月に1回程度,裁判所で期日が開かれますので,この期日には,時間が許す限り来て下さい。期日毎に原告,支援者による期日報告会を開催しますので,そこにもご参加ください。支援を広げるためにも支援者との交流が大切です。これまで支援をして下さっている方々にも裁判の意味を伝えていって欲しいのです。
24 提訴をするにはいつまでに連絡をしなければなりませんか。弁護士報酬は,勝訴した場合にだけ発生します。ですから,完敗したとしても,ご負担は印紙代,予納金,提訴実費などに限定されます。すでに賠償をもらった分のうち,慰謝料として支払われた部分は,控除の対象となります。しかし,すでにもらった分を返せとは言われません。
25 どういう手続が必要ですか。提訴を希望される方は,随時,弁護団の窓口(075-211-2270。平日午前9時から午後5時まで)にお電話下さい。
委任状が必要です。認め印だけで結構ですが,未成年者が原告となる場合は,親権者が誰であるか分かる資料(戸籍謄本)が必要になります。また,弁護団にADRを依頼したことのない方の場合,委任約諾書等の弁護団との契約書も必要です。また,必ず原告団に加入して頂くことも必要です。
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