No.11 提訴にあたっての弁護団声明

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提訴にあたり,ご理解とご支援を心からお願い致します。

私たち原発賠償京都弁護団は,本日,2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原発の爆発事故による放射線被害から逃れて京都に避難してきている,33所帯,91人の方々から委任を受けて,東京電力と国を相手取り,損害賠償を求める裁判を京都地方裁判所に提起しました。
この裁判の目的は,3つあります。
まず第1に,何よりも,放射性物質による健康被害,とりわけ輝く未来を持つ,いたいけない子どもに対する侵襲を避けるために,避難という苦渋の選択をせざるを得なかった原告の皆さんの悔しさ,無念さを明らかにするとともに,その避難の社会的相当性を証明し,遠く故郷を離れ,住み慣れない土地で不安定かつ不自由な生活を余儀なくされている損害のすべてを東京電力と国に賠償させることを目的としております。
次に,第2に,そのためにも東京電力や国の悪質なウソをあばき,今なお放射線物質を放出,拡散させて住民に甚大な被害を与え続けている東京電力とこれを適正に規制して来なかった国の責任を明確に認めさせなければなりません。
東京電力は,今回の大地震と津波を想定外だったとし,爆発事故は自然災害によるもので,人災ではないなどと喧伝し,国もまたこのような弁解に加担して,自らの責任を隠蔽しています。
しかしながら,わが国の憲政史上初めて国会に衆参全会一致により設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の 調査結果は,「3.11 時点において,福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態であったと推定される。地震・津波による被災の可能性、自然現象を起因とするシビアアクシデント(過酷事故)への対策、大量の放射能の放出が考えられる場合の住民の安全保護など、事業者である東京電力及び規制当局である内閣府原子力安全委員会、経済産業省原子力安全・保安院、また原子力推進行政当局である経済産業省が、それまでに当然備えておくべきこと、実施すべきことをしていなかった。」,「今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま 3・11 を迎えたことで発生したものであった。」,「何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は『自然災害』ではなくあきらかに『人災』である」と明確に結論づけています。
私たちは,国会に設置された権威ある調査委員会がこれほど明白に,本件原発事故が東京電力と国の怠慢が原因の人災であったことを明言しているにもかかわらず,あれこれ理屈をつけ加害者としての責任を逃れようとしている東京電力と国の態度を厳しく批判するものです。
第3に,東京電力と国は,本件原発事故の発生以来,市民に正しい情報を伝えず,虚実ない交ぜの情報を小出しにしながら,世論の批判を浴びると訂正を繰り返すという不誠実な態度に終始してきました。いま現在,毎日300トンの高濃度汚染水が海に流出している問題についてもまた同じ態度を取って,市民の不安を高めています。海に漏洩した放射能は湾内で完全にコントロールされているから安全だなどの話を一体誰が信用するというのでしょうか。
私たちは,この訴訟を通して,福島原発と放射能の状況について過去はどうであったのか,現在はどうなっていて,未来はどうなるのかの真相を余すところなく明らかにさせ,人間にとって最も根源的な,安全・安心に生活する権利の確立のために全力をあげて取り組んでいく所存です。
市民の皆さん,京都府民の皆さんの大きなご理解とご支援を,心からお願い申し上げます。

平成25年9月17日

原発賠償京都弁護団

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このページは、弁護団が2013年9月18日 06:54に書いたブログ記事です。

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